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がん専門医の臨床研究

修正MCTケトン食による6か月間の安全性と有効性の評価

2017年1月14日、第20回日本病態栄養学会年次学術集会(京都)において、「ステージⅣ進行再発大腸癌、乳癌患者に対し修正MCTケトン食による6か月間の安全性と有効性の評価」について、弊社が支援するがん専門医古川医師の臨床研究の結果が発表されました。

発表の概要は、以下の抄録をご参照下さい。

第20回日本病態栄養学会年次学術集会発表-抄録

ステージⅣ進行再発大腸癌、乳癌患者に対し修正MCTケトン食による6か月間の安全性と有効性の評価

(公財)東京都保健医療公社 多摩南部地域病院 1)外科 2)栄養科
古川健司1)、星 博子2)

【目的】
がん細胞の栄養代謝は、グルコース・トランスポーターを増やし、正常細胞と比べて数倍〜数十倍ものブドウ糖を取り込んで消費しているため、がんの栄養療法としては、糖質制限が有効となる可能性がある。

今回、我々は抗癌剤併用でのがんに対する糖質制限食として、消化器症状を抑えるためMCTオイルの少ない修正MCTケトン食を導入し、当院の倫理委員会の承認の元、抗癌剤併用での安全性と有効性を調べた。

【方法】
対象は、標準治療で増悪となったステージ4進行再発大腸癌、乳癌患者。ケトン比が1.4:1になるような修正MCTケトン食を月1回病院で栄養指導を行い、6カ月実施することで、腫瘍マーカー、腫瘍のサイズ、栄養状態、血中総ケトン体、EORTC QLQ-C30でQOLの評価を行った。

【結果】
13名(大腸癌11名、乳癌2名)が臨床研究に参加。6か月間実施し、がんの進行により2名死亡、イレウスで1名、MCTオイルの下痢で1名中止した以外、栄養障害による中止はなかった。

腫瘍マーカーが上昇した症例は3例で、腫瘍が増大した症例もその3例であった。アルブミン値は、実施前4.11g/dlで、6カ月後4.15g/dlで低下なく、体重減少も開始後3カ月で、-4.5%で有意な減少を認めたが、6か月間では-6.0%で、3カ月以降は有意な体重減少を認めなかった。

QOLに関しては、開始前43.5、6か月後41.6とやや改善し、1名で著明な改善が認められた。治療効果は、手術により1例CRとなり、RECIST基準で、PR6例、SD3例、PD3例で、奏効率53%、病態コントロール率77%であり、がんの縮小は、血中ケトン体値に相関(p値=0.076)が示唆された。

【結論】
修正MCTケトン食は、抗がん剤治療との併用でも、6か月ではあるが、安全でQOLを維持できる食事療法であり、がんの縮小は、血中ケトン体値に相関があると思われた。

 

 

世界初!「ステージⅣの大腸癌、乳癌」の臨床研究!

平成28年1月10日、第19回 日本病態栄養学会年次学術集会において、弊社の専任アドバイザーであるがん治療専門医が、ステージⅣ進行再発大腸癌、乳癌に対し蛋白質とEPAを強化した糖質制限食によるQOL改善に関する臨床研究を発表いたしましたのでご紹介します。
糖質制限がん免疫栄養療法にご関心のある方はご参考にされてください。

第19回日本病態栄養学会年次学術集会発表-抄録

ステージⅣ進行再発大腸癌、乳癌に対し蛋白質とEPAを強化した糖質制限食によるQOL改善に関する臨床研究

【目的】

ステージⅣの進行再発大腸癌、乳癌の場合、3rdラインまでの化学療法のレジメンがあり、予後延長に伴い3rdラインまで行う患者数も増えてきている。しかし、貧血、白血球減少、アルブミン値低下により、抗癌剤が使えなかったり、行っても副作用に苦しむ患者も多くいるため、当院の倫理委員会の承認の元、上記の糖質制限食で、栄養改善が図れるかを検討した。

【方法】

総カロリーを変えずに、蛋白質とEPAを強化した分、糖質を制限した食事を自宅で作って頂き、1か月以上、最長3カ月実施することで、腫瘍マーカーの変化、腫瘍のサイズの変化、栄養状態の変化、血中総ケトン体を検討した。

また、EORTC QLQ-C30でQOLの評価を行い、タンパク質は体重当たり2.0g、EPAは1日2g以上摂取し、炭水化物(糖質)であるご飯・パン、麺類、糖質の多いくだもの、野菜などは控えるように指導をした。

【結果】

大腸癌11名、乳癌3名が臨床研究に参加。14名全員が1か月継続し、9名が3か月以上実施し、イレウスで1名、がんの進行により1名中止した以外、栄養障害による中止はなかった。
抗がん剤治療は13名が受けており、腫瘍マーカーが上昇した症例は、2例で、腫瘍が増大した症例もその2例であった。QOLに関しては、開始前が43.4、3か月後が38.7とやや改善し、1名で著明な改善が認められた。

アルブミン値は、実施前が4.18g/dlで、3カ月後が4.21g/dlで、体重減少も3カ月以上実施者で、-5.4%であった。治療効果は、RECIST基準で、PRが6例、SDが1例、PDが2例で、血中総ケトン体値に相関していた。

【結論】

がん患者に対し、総カロリーを変えない糖質制限食は、抗がん剤治療との併用でも、3か月の短期間ではあるが、QOLを維持できる食事療法であることが示唆された。

 

 

水素吸入と高濃度ビタミンC点滴によるORP値の変化

平成28年6月11日、第16回日本抗加齢医学会総会において、弊社の専任アドバイザーであるがん治療専門医が、がん患者に対し高濃度ビタミンC点滴と水素吸入による唾液ORP値の変化に関する検討に関する臨床研究を発表いたしましたのでご紹介します。

今回の臨床研究の成果は、がん免疫栄養ケトン食療法セミナーの講義の中でも紹介されています。
がん治療にご関心のある方、抗癌剤治療中の患者さんやご家族の方でご興味のある方はご参考にされてください。

第16回日本抗加齢医学会総会の臨床研究発表-抄録

がん患者に対し高濃度ビタミンC点滴と水素吸入による唾液ORP値の変化に関する検討

医療法人 輝鳳会 池袋クリニック
古川健司、車田尚美、甲 陽平

(目的)水素は、活性酸素のなかでも選択的にヒドロキシルラジカルを消去するが、抗癌剤はヒドロキシルラジカルを発生させる代表的な物質である。
そのため、抗癌剤治療中の患者さんのORP値は高いことが予想されるが、水素吸入を行うことで、ヒドロキシルラジカルが消去され、ORP値が低下するかどうかを検証する。
また、抗酸化療法の代表格である高濃度ビタミンC点滴を併用した場合のORP値の変動も合わせて評価する。

(方法)今回、我々は、平成27年5月21日~6月24日の約1か月間、は当院を受診されたステージⅣのがん患者31人とがんサバイバーの方7名に、水素酸素発生装置(Suisonia)を30分間吸入してもらい、吸入前後でのORP値の変化を、唾液ORP測定装置を用いて計測し、抗癌剤併用の有無、高濃度ビタミンC点滴の有無で、唾液ORP値の変動を調べた。

(結果)総合評価では、ステージⅣのがん患者さんの平均唾液ORP値は、75mVと高く、水素吸入や高濃度ビタミンC点滴などの抗酸化治療を受けると、30.7mVにまで低下し、その変動幅は、-44.3mVとなっており、抗癌剤治療を受けている患者の方が、その変動幅が大きく、ヒドロキシルラジカルが多いことが示唆された。

水素酸素吸入単独と水素酸素吸入+高濃度ビタミンC点滴との比較では、前者の平均ORP値が-29.1mV低下に対し、高濃度ビタミンC点滴を併用した方が、唾液ORP値の変動幅が、-78mVと2倍以上の開きがあり、ビタミンCにより、他の活性酸素である過酸化水素(H2O2)が消去されていることが示唆された。
一方、がんサバイバーは、唾液ORP値が48.4mVと低く、活性酸素がもともと少ないと思われた。

(結語)総合評価では、ステージⅣのがん患者さんの唾液ORP値は、 抗癌剤治療を受けている患者の方が、その変動幅が大きく、ヒドロキシルラジカルが多いことが示唆された。 水素酸素吸入に高濃度ビタミンC点滴を併用すると、より効果的に唾液ORP値を下げることができると思われた。

 

抗酸化サプリメント摂取による抗酸化力の比較検討!

平成28年6月11日、第16回日本抗加齢医学会総会において、弊社の専任アドバイザーであるがん治療専門医が、抗酸化サプリメント摂取による抗酸化力の比較検討に関する臨床研究を発表いたしましたのでご紹介します。

今回の臨床研究の成果は、がん免疫栄養ケトン食療法セミナーの講義の中でも紹介されています。
がん治療にご関心のある方、抗癌剤治療中の患者さんやご家族の方でご興味のある方はご参考にしてください。

第16回日本抗加齢医学会総会の臨床研究発表-抄録

抗酸化サプリメント摂取による抗酸化力(唾液ORP-酸化還元電位値)の比較検討

医療法人 輝鳳会 池袋クリニック
古川健司、車田尚美、甲 陽平

(はじめに)
抗酸化サプリメントは、ビタミンCやブルーベリー系、近年では、水素発生サプリメントなどが市場に出回っているが、酸化還元力の評価として、ORAC値(オラック)が表示されていることが多い。しかし単体の試験管内の実験では、かなり高い数値を示すサプリメントもあるが、実際の体内に摂取された場合の効果に関して、評価した報告は皆無である。今回我々は、代表的な抗酸化サプリメント9種類を健常人に摂取してもらい、唾液ORP値を測定し、臨床での抗酸化力を評価した。

(方法)
今回、我々は当クリニックの従業員(健常人)約10人を対象に、代表的な抗酸化サプリメント、ビタミンC、アスタキサン、タヒボ茶、マキベリー系サプリ、水素発生サプリ、フコイダンなど9種類のサプリメントを、食事の影響を考慮し、食後2時間以上経過後、サプリメントを摂取し、摂取2時間後の唾液ORP値を測定し、その臨床的な抗酸化力を評価した。

サプリメント摂取後、唾液ORP値測定までの2時間は、水以外の水分や食事などの経口摂取は一切禁止とした。

(結果)
被験者の数が少ないため、単独で唾液ORP値に有意差がある抗酸化サプリメントはなかったが、代表的なベリー系3種では、値=0.06、ビタミンC系3種はp値=0.228(t-検定)で、ベリー系でわずかに有意差が出なかったが、ビタミンC系に比較して唾液ORP値を下げた。また、ベリー系3種とビタミンC3種の比較では、p値=0.04でベリー系3種が有意に唾液ORP値を低下させ、ビタミンC3種より抗酸化作用が強い結果となった。

(結語)
抗酸化サプリメントは数多くあるが、経口摂取では単独で明らかな有意差は認められなかったが、ベリー系がビタミンC系より抗酸化力が高いことが示唆された。しかし、腸管吸収に個人差あることから、それぞれに合ったサプリメントを選別することが重要で、その判断材料として、唾液ORP検査は、一つの有効な手段であることが示唆された。

日本初!糖質制限食と化学療法の併用!がん治療臨床研究!

2015年10月、第53回日本癌治療学会学術集会(京都)で、弊社のアドバイザーである医師が日本初の糖質制限食によるがん治療に関する報告など3件の発表を行いました。
その一つ、「ステージⅣの乳癌術後再発に対し、糖質制限食と化学療法を併用してQOLの改善」症例の抄録をご紹介します。 糖質制限がん免疫栄養療法にご関心のある方はご参考にされてください。

第53回日本癌治療学会総会発表-抄録

乳癌術後再発に対しタンパク質を強化した糖質制限食と化学療法を併用しQOLが改善した1例

近年、欧米ではケトン食をがん治療に併用する臨床試験が開始され、糖質制限が乳がん術後の再発リスクを下げる報告もある。また、がん治療の進歩により、がん患者の生存期間は少しずつではあるが改善しつつあるが、ひとたび転移すると完全治癒を望むことは依然として困難であり、化学療法や放射線療法を受けながら生活し、時間とともにQOLは低下しているのが現状である。

今回、我々は、乳がん術後再発の患者に対し、タンパク質を体重当たり2gの摂取と1日15gの糖質制限食と抗癌剤を併用し、QOLが改善し、皮膚転移がPRとなった症例を経験したため、報告する。

症例は、70歳女性。2007年8月に右乳がんに対し、乳房全摘術施行し、StageⅡB、ER(+)PGR(+)Her2(-)のため、術後放射線治療とホルモン療法を施行。その後、局所再発あり2009年5月に局所切除術施行。術後は、ホルモン療法を施行。

しかし、2010年5月に再々発あり、局所切除術施行。その後、種類をかえてホルモン療法を継続したが、左乳癌のため、2013年11月、乳房全摘術施行。StageⅢCのため、術後、FEC療法、2014年3月から、Abraxaneを施行したが、8月のCT、骨シンチで、胸骨・肋骨転移、胸膜転移、皮膚転移を認めた。

9月よりEribulinを開始。第1回目のEribulin投与後は、EORTC QLQ-C30スコアは79点で、化学療法後の全身倦怠感が著明であったが、第2回目の途中から糖質制限食を開始し、スコアは63点となり、第3回目からは前回から糖質制限食を継続し、スコアは53点と著明な改善を認め、右肺転移の縮小、全身倦怠感と右前胸部の皮膚転移も肉眼的に改善傾向にあった。

乳癌の術後7年の間に再発を繰り返したが、糖質制限食を導入後の入院時、尿検査で、ケトン体3+、血中総ケトン体量最高1228μmol/lと著明なケトーシスを認めたが、6か月継続し、QOLの明らかな改善とがんの縮小を認めた本邦初の症例であるため、海外文献による考察を含め、報告する。

 

がん患者における遠赤外線足温器の効果と有用性

2015年5月31日、第15回日本抗加齢医学会総会(福岡)で、弊社が応援するがん専門の医師がフジカ スマーティレッグホット(脚温器)のがん治療における成果を発表しました。

第15回日本抗加齢医学会総会発表-抄録

がん患者における遠赤外線足温器の効果と有用性の検討

医療法人 輝鳳会 池袋クリニック
古川 健司、車田尚美、甲 陽平

 

(目的)
遠赤外線足温器(フジカ製のスマーティ・レッグホットLH-2)は、従来の足浴と異なり、お湯を使用しないためクリニックなどの不特定多数の患者に使用する場合、衛生面の管理が比較的簡便であるといったメリットがある。また、安価であるため、家庭用の健康器具としても普及している。

(方法)
今回、我々は当院で治療中のがん患者13人に、LH-2を39℃で15分間加温し、終了15分後の深部体温(腋下体温)、血圧、脈拍の変化をまとめ、健常人(クリニックのスタッフ10名)をコントロール群として、比較検討を行った。
また、高活性NK細胞療法を受けている患者10 名に関しては、NK細胞数の培養の増加率を調べた。

(結果)
がん患者は、担癌患者と非担癌患者に分類し、担癌患者はリンパ節の走行を考慮し、骨盤内腫瘍と骨盤外腫瘍でさらに分けた。コントロール群は、前後で平均深部体温が+0.42℃、骨盤内腫瘍のある担癌患者は、+0.09℃、骨盤外腫瘍のある担癌患者は+0.04℃、非担癌患者は+0.5℃の上昇を認めた。

血圧、脈拍、に関しては、いずれの群でも有意な変化を認めなかった。また、NK細胞の増加率は、担癌患者で、平均218倍で、非担癌患者で、平均183倍、明らかな差を認めなかった。
LH-2は、15分の短時間で平均体温(深部温)が非担癌患者で、平均+0.5℃程度上昇し、担癌患者では、+0.1℃も上がらず、非担癌患者では、深部体温上昇が健常人と同等となっていることが確認できたが、一般的には、深部温+0.5℃の上昇は、42℃の入浴10分間に相当する。

(結語)
しかし、入浴などの全身浴は比較的消費カロリーが多く循環動態に変化を与えるが、LH-2は、比較的体力の低下したがん患者にとって、中枢の循環動態に負担を与えず効果的に深部温が上げられるため、安全な加温方法であることが示唆されたが、担癌患者の代謝改善の方法や免疫治療においての併用の有効性は、今後の症例の積み重ねが必要と思われた。

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